「エンバーミング」をまとめてみました。

10月2日のNHKニュース「おはよう日本」内で放送された

エンバーミング」についてコロナ渦で注目される理由を

まとめてみました。

 

エンバーミング(embalming)とは?

『遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期

保存を可能にする技法。日本語では「遺体衛生保全」という。』

(出典:ウィキペディア)

 

エンバーミングって誰がするの?

『「エンバーマー(Embalmer)」と呼ばれるIFSA(一般社団法人

日本遺体衛生保全協会)のエンバーマーライセンスを取得した者や

医学資格を有した医療従事者』です。

 

エンバーミングってどうやってするの?

1 全身の消毒、および洗浄を行います。

2 遺体の表情を整え、必要に応じて髭を剃るなどの処置を

  行います。

3 遺体に小切開(主に頸部等)を施し、動脈より循環器経路を

  使用し防腐剤を注入。

  同時に静脈より血液を排出します。

4 腹部に約1cmの穴を開け、そこからトローカーと言われる

  金属製の管を刺し胸腔・腹腔部に残った体液や、腐敗を

  起こしやすい消化器官内の残存物を吸引し除去。

  同時にそれらの部分にも防腐剤を注入します。

5 切開を施した部位を縫合する。縫合部分にはテープ等を貼り

  目立たなくする。

  事故などで損傷箇所がある場合はその部分の修復も行います。

6 再度全身・頭髪を洗浄し、衣装を着せ、表情を整え直し化粧を施し

  納棺します。

 

エンバーミングが必要な例は?

・亡くなられてから葬儀まで日数がかかる場合

  放送でも取り上げられていましたが自身がコロナウイルス

  感染してしまい、親が亡くなっても自身の隔離措置が解除に

  ならなければ葬儀を行えない等

・海外から空輸で遺体の搬送を行う場合

  海外に行かれた方が亡くなられて遺体の状態で帰国する場合

  他国の方が日本国内で亡くなられて遺体の状態で搬送する場合

・生前の姿に近い状態で別れの時間を過ごしたい場合

  病気やケガなどで生前の面影が感じられない場合

・遺体から病気が感染することを防ぎたい場合

  故人が感染症にかかっていた場合

 

エンバーミングのデメリットは?

・高額な費用がかかります

・処置に時間がかかります

  遺体を処置するのに3~4時間ほどかかりその他に自宅と施設を

  往復する時間がかかります。近隣にエンバーミング施設が無い

  場合は移動に長時間かかります。

 

エンバーミングの費用は?

 費用は遺体の状態によって変動するが15~25万円が平均的と

 されています。基本料金に関してはIFSA(一般社団法人 日本

 遺体衛生保全協会)が定めています。

 安くはない金額だがより満足度の高い葬儀が可能です。

 

エンバーミングと死化粧やエンゼルケアとの違いは?

 死化粧はエンゼルメイクとも呼ばれファンデーションや

 口紅を塗る、髭を剃るなど故人の顔を整えます。

 エンゼルケアは医療業界で「死後処置」と呼ばれます。

 以下の処置が多いです。

 ・点滴やチューブ等の医療器具を外します

 ・口腔・鼻腔をケアし、目や口を閉じます

 ・全身の清拭

 ・肌の乾燥対策(保湿)

 ・体液の漏れ防止対策

 ・死化粧・着替え

死化粧・エンゼルケアは故人の表面的な姿を整えることが

主な目的です。エンバーミングは遺体の状態を10日~2週間

ほど保ち、別れの時間を十分に設け外傷の修復や防腐剤の

注入によって生前の姿に近づけられることが違いです。

 

エンバーミングを施された人は?

世界では多くの政治家や有名人に施されています。

一例を挙げます。

ウラジーミル・レーニン(ソ連)

ヨシフ・スターリン(ソ連)

ホー・チ・ミン(ベトナム社会主義共和国)

・蔣介石(台湾)

毛沢東(中国)

金日成(北朝鮮)

金正日(北朝鮮)

マリリン・モンロー(アメリカ)

マイケル・ジャクソン(アメリカ)

テレサ・テン(台湾)

・松本由里(日本)

 

エンバーミングの普及については?

アメリカやカナダでは90%以上の遺体にエンバーミング

施されるというデータがあります。イギリスやシンガポール

でも約70%の遺体にエンバーミングが施されるなど

エンバーミングの普及率が高い国があります。

日本では1974年に川崎医科大学で導入され1988年に191件だった

ものが2000年には1万件を超え、2011年に2万3千件以上、

2015年に3万3千件以上、2017年には4万2千件以上の遺体に

エンバーミングが施されました。累計で446034件に及び

日本でもエンバーミングが普及していることがわかります。

 

エンバーミングの法律上の解釈は?

日本ではエンバーミングに関する法律はありません。

IFSAの自主規制の範囲内で行われています。

 

1 本人またはご家族の署名による同意に基づいて行うこと

2 IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った

  技術者によってのみ行われること

3 処置に必要な血管の確保および体腔の防腐のために最小限の

  切開を行い、処置後に縫合・修復すること

4 処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬または

  埋葬すること

 

エンバーミングはご遺体を衛生的に安全に保全し、ご遺族が故人を

精神的にも時間的にも安心してお別れできる環境を作ることを目的と

して行われるものです。かつ、IFSAでは厳格な基準に従い、節度を

持って定めております。従って刑法190条(死体損壊罪)、その他の

法律には抵触しません。(出典:IFSA 一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)

 

愛するご家族・ご親族が新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった時、

対面もできずにお別れするのは悲しすぎます。「エンバーミング」は悲しみ

を軽減する方法の一つになりえるので葬儀の際にご参考になれば幸いです。